不倫慰謝料に加えて弁護士費用も不倫相手から取れる?

1 はじめに

不倫慰謝料の請求についてのご相談をいただく際、「これから依頼する場合に、不倫相手に私の弁護士費用も負担させたいと思うのですが、それは可能ですか。」とのご質問をいただくことがあります。
今回は、夫(または妻)の不倫相手に対し、慰謝料に加え、不倫慰謝料請求をする側の弁護士費用を請求したり、実際に取得したりすることができるのかについて解説させていただきたいと思います。

2 弁護士費用はご依頼人が負担することが原則

弁護士費用が、事件ご依頼時の「着手金」と事件終了時の「報酬金」に分ける通常の費用体系の場合、初期費用にあたる「着手金」や「実費預り金」(交通費や郵便代などの実費にあてる費用の預り金)につきましては、ご依頼人において負担していただく費用になります。

不倫慰謝料事件ではあまりありませんが、夫婦間での離婚事件において、「悪いのは夫(妻)だから先生の費用もあっちでもってもらいたい」との希望を伺うことがございますが、この点につきましては、弁護士が、紛争の相手方から着手金などの費用を受領することは弁護士法上禁止されています(弁護士法26条、弁護士職務基本規程53条)。
弁護士が紛争の相手方から弁護士費用として金銭などの受領してしまいますと、その弁護士が自身の依頼人にとって不利益な代理人活動をしてしまう恐れが生じてしまうからです。

3 事件終了時に負担させることができることはあるが…

不倫慰謝料事件は、通常、裁判前の交渉事件から始め、交渉での和解とならない場合、訴訟に至る形が一般的と言えます。
交渉段階では、通常、弁護士費用を別立てして請求することはなく、慰謝料として請求し、交渉の結果、和解に至る場合も慰謝料(または和解金)に加え、弁護士費用を追加して和解合意書に記載したり、慰謝料と別に支払うことを約したりすることは通常ありません。

次に、訴訟の場合は、裁判所へ最初に提出する訴状において、慰謝料のほかに弁護士費用を追加して請求することが多いと言えます。
また、弁護士費用の請求額は、実際にそれまでご依頼人が負担した弁護士費用や見込まれる報酬など実額ではなく、請求する慰謝料額の10%程度に相当する額とするのが一般的です(例えば、請求する慰謝料額が300万円の場合、弁護士費用は30万円として請求し、合計330万円の請求になる形です)。

また、不倫慰謝料訴訟事件の多くは判決まで至らずに、途中で裁判上の和解で終了することになりますが、その際も、和解条項に弁護士費用を別立てして記載することは通常なく、慰謝料または和解金のみを記載する形になります。

他方、判決に至る場合、裁判所が認めた慰謝料額の10%前後に相当する額が弁護士費用として認められることが一般的と言えます(例えば、裁判所から認められた慰謝料額が150万円の場合、15万円の弁護士費用が追加されて合計165万円となる形)。

4 さいごに

以上からすれば、不倫慰謝料請求をする側の弁護士費用は、原則、ご自身で負担いただくことになりますが、認容判決及びその後における不倫相手からの回収によって、不倫相手に実質的に負担させることが可能と言えます。

もっとも、その金額については実際にかかった弁護士費用の額ではなく、認められた慰謝料の10%前後に止まり、不倫慰謝料の多くが100万円〜200万円の範囲に収まることからすれば、不倫相手に負担させることができる弁護士費用は10万〜20万くらいまでと考えておくのが現実的と言えるでしょう。

他方、交渉段階での和解や裁判上での和解では、さきほどのとおり、弁護士費用を慰謝料と別立てして和解条項に記載したり、慰謝料の額と別枠で支払われたりすることは通常なく、慰謝料や和解金などとして「150万円」などと一本化して取り決めることになりますので、この点は注意が必要です。

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