妊娠・中絶による慰謝料請求

妊娠・中絶に対する慰謝料は請求できる?

交際があった男女間のトラブルで比較的よくご相談がある事例として、交際期間中に妊娠及び中絶の事実が発生した場合、女性側から男性側に対し慰謝料を請求できないかという内容があります。
妊娠、それに続く中絶手術に至る場合、女性側には相当程度の精神的、肉体的負担が掛かる一方、そのような負担を負わない男性側はどのような責任を負うことになるのか。今回のコラムでは、かかる請求の可否などにつき取り上げてみたいと思います。

請求できる場合とは?

性交渉や避妊に関し、双方の合意がなかった場合(例えば、強姦の場合や避妊をしていないにもかかわらず避妊をしたと偽って性交渉をした場合)は、そのような性交渉自体が不法行為となり得るため、その後の妊娠、中絶という結果についても慰謝料請求ができることになります。
他方、性交渉や避妊しないことについての合意があり、その後、妊娠、中絶の事実が発生した場合はどうなるでしょうか。

東京高裁の事案

この点、同様の事案において、東京高等裁判所(平成21年10月15日判決)は、性交渉自体は不法行為とは評価できないとの判断を前提としつつ、性交渉後の妊娠、中絶に伴う肉体的、精神的苦痛という女性側に生じる不利益につき、男性側がその不利益を軽減し解消するための行為又は女性側と等しく不利益を分担する行為をする義務があるとして、中絶について女性側と話し合いをせずに判断を委ねた男性に不法行為の成立を認めた第1審判決を支持しました。
なお、第1審では、女性の慰謝料を200万、女性側に生じた治療費約68万と認定した上で、その合算(約268万円)の2分の1になる約134万を男性側が負担すべきと判断しています(弁護士費用、既払金は除く)。

請求を検討する場合は

交際に付随して妊娠、中絶の事実が生じた場合、裁判上では必ずしも慰謝料請求が認められる訳ではなく、一定の要件の下で慰謝料請求を認めていると言えるかと思われます。
また、先程の高裁判決からすれば、性交渉、妊娠後における男性側の行動次第で慰謝料が発生するか否か変わってくるとも言えるでしょう。
今回のコラムで取り上げた妊娠・中絶を原因としてトラブルが生じてしまった場合トラブルに至る可能性が生じた場合には、そもそも慰謝料が発生する場合なのか、そのような場合の慰謝料の相場などにつき、ご相談を受けていただくと宜しいかと思います。

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